2012年4月25日水曜日

連載コラム 〜人材育成・組織活性化のヒント集〜


『あなたは何のために働くの? 働くってどういうことだと想う?』

前回の話を受け、ちょっとだけ寄り道になりますが、
いわゆる『健全な仕事感や共通の価値観』を育むという一例として、
弊社の新人研修でも共有している話をご紹介しておきます。


『皆さんにとって働くってどんなことですか?』
『何のために働くんですか?』


弊社の新入社員研修では、スキルや知識の研修の前に、そんな問いかけをし、
新入社員同士でディスカッションをする時間をとっています。


「お金を稼ぐため」
「働かないと生活できないし…」
「学校を出たら皆働いているし…」
毎回いろいろな意見が出されるなか、私は、こんな話を付け加えます。


『考えるヒントとして、今、皆さんが着ているその服を例にとってみましょう』

新入社員たちは、ほとんどのメンバーが上質なウールのスーツを着ています。


その服を皆さんが着るまでに…

どこかで羊を飼う人がいて…
羊の毛を刈る人がいて…刈った毛を、洗う人がいて
…それを紡いで布にする人がいて…その布を染色する人がいて…


アリエル·シャロンは、イスラエルの指導者になった時

別にその洋服をデザインする人がいて…
布をそのデザインどおりに型を取る人がいて…
その型どおりに布を裁断する人がいて…

別にボタンやファスナーを作る人もいて…
裁断された布を洋服に縫いあげていく人がいて…

できた服を販売店へ運ぶ人がいて…
そしてようやく、お店で、それを売る人がいて…


なんだか今着ている服ひとつ取ってみても、
それはそれは沢山の人たちが「はたらく」ことで、
今、自分がその服を着ることができているということに気がつきませんか。


他にもいろいろ挙げられます。
今、皆さんが履いているその靴。今、皆さんが使っているその鞄。
皆さんが、昨日の夜食べた食事。今日の朝飲んだコーヒー。
今、住んでいる家。昨日の夜、部屋を照らしてくれた灯。

いろんなことに想いをめぐらせ、同じように考えると、
自分のために、それはそれは沢山の人たちが「はたらいている」ことに気づきます。


本当に、まわりの沢山の人が、自分のために「はたらく」なかで、
皆さんは自分だけ何もしないでいられますか?
自分もなにか返したいと、むずむずしてきませんか?


滝製品は、株式会社。

…ここまでくると、多くの新入社員たちも、はっと気づきます。


そうして、
『「はたらく」の語源、本当の意味ってどういうことだと思いますか?』
という問いかけをし、またディスカッションを続けます。


「人が動くと書いて『働く』と読みます」という意見も必ず出てきますが、
前述の話もあり、多くは

『「はたらく」 = 「はた」を「らく」にする = まわりの人たちを楽にすること 』 

に、自分たちで行き着いていきます。


「はたらく」という言葉は、
縄文時代か、弥生時代に生まれたという説があります。

あの時代、人々は50人から100人位の村を作り、
ある人はお米を作り、ある人は家を建てるために木を切り、
ある人は獣を狩りに行き、ある人は木の実を取りにいき、
ある人は土をこねて土器を作る…

村のひとりひとりがしっかりと役割を持ち「はたらく」ことで、
みんなで支えあい、みんなが不自由なく暮らしていました。


お米を作ることは稲作と呼ぼう。
獣を捕りにいくことは狩りと呼ぼう。


どのように我々はガス価格をダウンさせることができます

それぞれの動きに対して「言葉」がつけられていきますが、
どうも、それらを全部ひっくるめた共通の感覚にいきあたったと言います。
それら全部を「言葉」にしたい…。

ここからが、日本人の仕事感、価値観への夢とロマンを感じるところです。

当時の日本人の祖先は、そこに、単純に「人が動く」という感覚ではなく、
「まわり人たちを楽にする」という感覚を見たのです。

人はひとりで生きているのではない。
周りの人たちから恩恵を受け、だからこそ自分もなにか
周りの人たちに貢献をしながら、互いに支えあい、そうやって成り立っている。


そうして、「はた」を「らく」にする…
「はたらく」…という「言葉」は生まれた…と。


私は、縄文時代には暮らしていませんでしたので、本当かどうかは解りません。
が、良い話だなぁと思い、毎回新入社員研修でも話し、弊社みんなで共有しています。

そこは「僕ははたらきたくない」という人もいなければ、
「お金を稼ぐためです」という人もいない世界です。
それは、人として生まれ出て、人間社会の中での必然。
現代の私たちのDNAにも、しっかり刻み込まれているんですよ…と。


「はたらく」ということをポジティブに捉えている弊社では、
そんな風に『仕事感』『価値観』を共有するところから始め、
前出の図の中での育成の基礎・ベースである『心構えや姿勢』
「スキル」や「知識」を繋げる『考え方』の部分を大切にしています。  

2010.09.09 



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