※友人、知人、同僚、部下、上司、取引先への転送は自由です。
<<あなたと、チームの、知識とスキルのブラッシュアップを>>
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2002年8月19日分:Vol. 112
<中世的世界のあとはルネサンス>
ビジネス知識源:良質な経営・IT・ビジネス知識の提供を目標に
(読者数: 28.011名)
Systems Research Ltd. chief consultant吉田繁治
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� ��んにちは、吉田繁治です。先週は1日、今週は2日遅れの配信に
なっていることを、深くお詫びします。今週の作業で追いつきます。
配信した<サム・ウォルトンの遺言(1)(2)(3)>では、ウ
ォルマートの創業者サム・ウォルトンの、自伝的回顧:『Sam Walton
Made in America(邦訳はロープライスエブリディ)』を読みな
がら、彼がどんなことを考えていたのかを、彼と対話するつもりで
考察してきました。
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1.Think One Store at a Time(一度に多数の店舗を考えるのでは
なく、一店のことを集中して考えよ)
2.Communicate ,Communicate, Communicate(全部の情報を知らせ
て話し合い、話し合い、話し合い続けよ)
3.Keep Your Ea r on the Ground(地面に耳を接するように、現場
の生の声に耳を澄まし、現場の地鳴りを聞け)
4.Push Responsibility ---and Authority----Down(組織が大きく
なるにつれ、責任と権限を現場に、組織の下の階層に与え続けよ)
5.Force Ideas to Bubble Up(現場のアイデアを、沸騰した水中の
泡が上にあがるように、「強いて」上にあがらせよ)
6.Stay Lean, Fight Bureaucracy(効果を上げるに必要なコストし
か掛けない身軽な組織を保ち、官僚主義の煩雑な手続きを撲滅する
ために戦え)
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上記4.5.6.についての考察は、また、まとめて行います。
本稿では、時事問題を素材に、「会社」の生命になる部分を考察し
ます。技術の問題ではない。 精神、エスプリ(esprit)に関わる部
分です。
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<Vol.112 中世的世界のあとはルネサンス>
【目次】
1.感想:腐敗構造の原因
2.会社と個人
3.タテ社会の人間関係
4.人間関係の崩壊
5.ウチとソト
6.行きついて急展開
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■1.感想:腐敗構造の原因
輸入牛肉の産地偽装の雪印食品事件に続き、日本ハムの類似の事件
が起こっています。先月末、ある会合で、偶然、食肉輸入の現場の
仕事をしていたことがある人に会った。まさに現場を知っていた。
案の定「ああした事件が、次々に発覚するのは、当然でしょう 。ま
だ、私が知っているだけでもいっぱいあります。」と言っていた。
暗澹としますが驚かなかった。読者の方の多くも、同じ気分でしょ
う。
▼リスクマネジメントのまずさではない
企業の危機管理(リスク・マネジメント)の不備が言われますが、
問題の筋が違います。
危機が起こったときの処理の巧拙ではなく、外部に漏れ、それが「
報道」されれば、一瞬で、企業の命取りになるようなことが、危機
意識がなく現場で行われている。
「一瞬でブランドイメージが裏返り、企業崩壊の危機につながる」
ことは、情報化時代の新しい現象です。
8月20日(火)の朝日新聞に、雪印食品の(元)ミート営業調達
部長の証言が出ています。以下に、記事を要約します。目的は、日
� �の「会社」というものを、この機会に改めて考えるためです。
▼要約
1.経緯:
雪印食品の元部長は、昨年10月下旬、元専務に対し、業界内で輸
入牛肉を国産牛肉と偽って、(狂牛病対策のための200億円の買
取り処分制度を使って)買取り申請する動きがあることを報告し、
「うちも参加したい」と伝えた。
元専務は、「やり方は任せる」と了承したという。
1.モチーフ:
輸入牛肉の国産牛肉への偽装は、膨れる在庫を減らし「会社に損を
させないため」にやったと元部長は証言。
2.上司の承認:
元専務が了解しているから、問題になったとき抑えてくれると思っ
ていた。しかし事件の発覚後、頼みにした上司の反応は冷ややかだ
った。「お前のおかげでクビになるわ」 ・・・専務から開口一番、
こう言われた。
3.危機対策:
報道後、社内に設けられた調査委員会の調査で、事件は、元部長や
関西、関東のミートセンター長ら5人の責任となされ、会社ぐるみ
でないことが強調されていた。
4.世の中:
「そういうことで会社が残るのであれば、やむをえない」、公表さ
れた結果についてそう思い、役員らが責任を問われないことについ
て「世の中そんなものかもしれない」と受け入れた。納得はしなか
ったが、「会社に愛着があった」
5.会社の解散:
雪印食品が(02年)4月限りで解散する話を耳にした。「このま
まではすべてが終わってしまう」と思い、役員の(産地書き換えへ
の)関与について明かし始めた。
6.裏切り:
元専務 と元常務が、偽装について「共謀したことはない」と起訴事
実を全面的に否認していることについて、元部長は「敵前逃亡みた
いなことではないかと思う」と述べた。
読めばやりきれない気分になります。ちょうど1年前の8月、こう
したことに関するテーマは、官僚の行動原理を解いた「共同体の二
重規範」でとりあげたことがあります。
やりきれなさは、どこから来るか。多くの人が属する組織、または
共同体の行動の、本質を示しているからです。そして、ああした、
ひどい事件は、雪印や日本ハムの、一部の堕落と腐敗がもたらした
ものだ。自分たちの組織には、無関係だと思いたくなる。
最近、よく言われるコンプライアンス(compliance:遵法)という
概念があります。コンプライア� �スの原義は、積極的に法を遵守す
るというニュアンスではなく、会社の利益追求と外部規範たる法や
、社会正義との妥協という感じです。
会社の利益追求行動は、社会倫理や法とは反することがあるという
ことが暗黙に前提されていて、それで、法にも従属しなければなら
ないという受動的なニュアンスをもつのがコンプライアンスです。
▼共同体の二重規範
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<共同体組織の二重規範>
「二重規範」は、徐々に示しますが、簡単に言えば、
(1)組織の不文律である内部規範が、
(2)外部規範(つまり法・正義・倫理)に優先するという共同体
組織の本質的な性格です。
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詳細は↓
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